第8回 杉本節子さんに聞く「京町家の屏風祭り」 京町家のくらし

杉本節子さんに聞く京町家のくらし
杉本家当主 杉本節子さん
京の人々は四季の移ろいを楽しみ、快適に過ごすため、くらしに様々な工夫を凝らしてきました。それらは長年にわたって研ぎ澄まされ、その所作、室礼には美しさが宿っています。歴史ある杉本家のご当主杉本節子さんから、凛とした京町家の暮らし方を学びます。
重要文化財杉本家住宅:町家としては京都市内最大規模に属し、表屋造りによる大規模な町家構成の典型を示します。建造物全体にわたって江戸時代に熟成された京大工の技量が遺憾なく発揮され、江戸以来の大店の構えを現在によく伝えています。

第8回 京町家の屏風祭り

祇園祭は京の町が最も華やぐハレの行事です。大いににぎわう山鉾町の家々では、格子を外して道行く人々に所蔵する屏風を披露する「屏風祭り」が習わしとして行われていました。町家の減少とともに「屏風祭り」を行う家が少なくなるなか、杉本家はこの晴れやかな習わしを守り、受け継いできました。

熊代繍江(熊斐)1693-1773

盧鴈図屏風

集い戯れる雁と羽ばたきに葉を揺らす盧。絶えず変わりつづける水辺の一瞬を描きとめています。変化に富ませた雁の姿態、盧の折れ葉の細やかな描出に高い筆技が見て取れ、生き生きとした印象を見るものに与えます。

俵屋宗達(生没年不詳)

秋草図屏風

そよ吹く秋風わたる秋の野。金地に描かれた秋草は、蝋燭の灯りの下での鑑賞を想定されたものと考えられ、ゆらぐ光に陰影を得て浮かび上がります。人知れず暮れてゆく野の静けさが伝わります。

祇園祭と鱧

鱧は梅雨の雨を飲んで美味しくなると言われていました。梅雨明けの7月頃より旬を迎えますが、京ではちょうど祇園祭のころ。京いちばんのハレの行事に欠かせない旬の味として愛されています。夏の旬味は、涼やかなうつわで迎えたいもの。夏日に身を晒してみたとき、目に心地よい色かたちを選べば、自ずと食卓は涼を求める雰囲気にまとまります。雨上がりの緑濃い庭を眺めながら一献。まもなく訪れる華やかな宵を待ちます。